第1部「2014年から続く日本最初の民泊清掃サービスのこだわり」air’s ROCK♪ 代表取締役 高梨一樹氏

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先日、住宅宿泊事業法が成立した。それを受け、Airbnbなど各仲介サイトは新法への対応姿勢をそれぞれ表明するなど民泊業界の動向は今後さらに加速していくことが予想される。そんな中、既に「民泊清掃」領域の変化は始まっており、ここ1年間、民泊清掃事業者の撤退が相次いでいる。

しかし、この変化の激しい民泊清掃領域において、「air’s ROCK♪」は2014年から清掃サービスをスタートさせ、今もなお提供を続けている。

今回、air’s ROCK♪ 代表取締役 高梨一樹氏にご協力頂き、同社がなぜ2014年から3年間、サービスを提供し続けられているのか、そのポイントや考え方、清掃領域の変化について話を伺った。

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強みは日本で最初に民泊清掃を始め、今も続けられていること

− 数多くの民泊清掃事業者がここ1年間で市場から撤退してしまいました。そんな中で、御社が民泊清掃サービスを継続できているポイントとは何でしょうか?

air’s ROCK♪ 代表取締役 高梨一樹氏

当初、民泊専門の清掃サービスを行う会社さんはたくさんいたのですが、今は多くの会社さんが民泊清掃事業から撤退されていきました。

業界のなかで一番最初にこういうサービスを開始して、今でもずっと続けることができている、まずはその点が弊社の特徴や強みと言えるのではないかと思います。それは、1つ1つの現場に対して、しっかりと責任感を持って取り組み続けた成果なのかなと考えています。 

そして、なぜサービスを継続できているのかという点については、当たり前のことを当たり前のように、継続できるかどうかがポイントだと思います。

清掃事業から撤退された会社さんから流れてきたお客様が多数いらっしゃるのですが、その際にお客様から他社さんの利用状況などを聞いていると、「当たり前のこと」ができていないなと感じることがあります。

「当たり前のこと」とは何かと言いますと、例えば、清掃を依頼したのに清掃されていなかったというお話を聞いたことがあります。そのお客様が、他社さんに清掃を依頼していたのですが、次にチェックインされたゲストから部屋が掃除されていないとクレームが入ったそうです。

あとは、スタッフによって、清掃の質が大きく異なるため、清掃終わりにお客様ご自身がチェックに行かないと心配だとおっしゃる方もいました。

それですと、清掃を依頼してる意味が半減してしまいますよね。お客様が清掃の実施確認や品質、ゲストからのクレームについて心配して頂かなくても大丈夫なように、弊社ではスタッフの教育だけでなく、マネジメントに非常に注力しています。安心して任せてもらえる、という点は強く自信を持っています。

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− マネジメントとは具体的にどのような事をされているのですか?

まずは、スタッフ個人のスキルに依存しないようにしています。どのスタッフでも一定の水準以上は清掃の品質を保てるようにマニュアルを設け、その水準に達するまでは研修を続けます。あとは、清掃現場ごとの指示や、その日に限って出す指示などの細かい指示まで、しっかり情報を共有することも重要です。

清掃現場にスタッフが行っていなかった、清掃されていなかったというのは、スタッフとの情報共有ができていない、あるいは情報を誤って認識されてしまった結果、発生するミスなのだと思います。情報共有を全社的に細かく徹底することで、こうしたミスを防ぐようマネジメントしています。

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お客様に向き合い、サービスに昇華させる

− 他に、強みと言える部分はありますか?

実際に他社さんの清掃現場を拝見したことはないのですが、清掃範囲は他社よりも広いのかなと思います。排水溝は分解して洗いますし、洗濯機の中のゴミも取り除くようにしています。

他には、浴室・洗面台・トイレに小さい換気扇がついてますよね。あそこはホコリが溜まりやすいので、必ず掃除するようにしています。

あとは、巾木(はばぎ)ってご存知ですか?壁にクロスが貼ってあって、その下の方にある床から高さ10cm15cm程度で壁沿いに設置されている板なのですが、あそこのホコリも必ず掃除するようにしています。動かせる冷蔵庫であれば動かして、冷蔵庫の下を掃除したり、リネンを設置する前には必ずコロコロで髪を取り除くようにするなど、他にも細かく掃除しているのですが、そこは弊社の強みだと思います。

清掃中の写真

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− 非常に細かな所まで掃除されるのですね。そこまで掃除する必要があるのか、とも感じてしまうのですが、御社がそこまで対応される理由は何でしょうか?

長く清掃事業をやってきたからこそだと思います。昔は冷蔵庫の下の掃除はしていなかったのですが、あるときお客様から「冷蔵庫の下が汚い!」とご意見を頂戴したことがありました。ゲストからお客様にクレームが入ったというお話だったのですが、正直最初はそこまで清掃するべきかどうかを悩んだことがありました。

しかし、そのあと私が清掃に行った際に、冷蔵庫の下を確認してみたのですが、確かに汚いなと思いました。冷蔵庫を少し動かせば掃除機をかけることができますし、綺麗にすることができると感じ、清掃範囲に加えることにしました。

そういうお客様のご意見から逃げずに、サービスに反映することを繰り返してきた結果が、今のサービスとなり、それが継続できている理由でもあるのかなと思います。

あとは、品質を含めて民泊清掃を軽んじて考えているところが案外多いのかなと感じます。

例えば、ゲストの大半が外国人だから、そこまで綺麗にしなくても大丈夫でしょう、みたいな話をされる方いらっしゃいませんか?実は全く逆で、外国人の方が日本人よりもすごく細かいこともあります。冷蔵庫のお話も外国人ゲストの方からの指摘によるものですので、誤った認識は危険です。

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業務負荷が増えてでも、品質アップを優先

− オフィスの中を拝見すると、洗濯機がかなりたくさん置かれていますが、リネンのクリーニングも自社で対応されているのですか?

オフィス内に設置されたリネン専用洗濯機

元々はクリーニング屋さんにお願いしていたのですが、お客様からお預かりしているリネンが他のお客様のものに混入してしまうことが頻発しまして、業者さんに改善を求めてきたのですが、なかなか改善することができないという経緯があり、今年の4月から自社でリネンのクリーニングも行う体制に変更しました。

自社で行うことにしたもう1つの理由としては、洗濯の品質部分についても問題がありまして、洗濯したものとして納品されるリネンの臭いが悪かったということがありました。この点について、ゲストからクレームを受けてしまうことがあり、確認すると生乾きのような臭いがしていました。ひどい時には、これは本当に洗ったのかな?と感じてしまうようなものもありました。臭いは清潔感の評価に直結する非常に大事な要素だと考えておりまして、部屋が臭いと、すべてのものに対し不快感を与えてしまいます。

自社でクリーニングまで行うことは、さらに業務負荷が増すことになりますので、この業務量を処理できるのか、事業として継続的な運営は可能なのかを慎重に考えたのですが、私たちが疑問に感じるようなものをサービスとしてお客様に提供することはできないと判断し、自社でクリーニングも行うことにしました。自社で対応するようになってからはリネン関連のクレームは無くなりましたし、よかったなと感じています。

リネンのクリーニングについても、ゲスト視点を取り入れるようにしています。日本人の感覚ですと、洗濯後のリネンはあまり香りがしない方が良いと感じる方が多いのではないかなと思うのですが、外国人の方は香りの強い洗剤が好まれることが多いです。そのため、弊社では洗濯後に香りが強く残る海外製の洗剤や柔軟剤を使用するようにしています。

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− 最近では非常に安価な清掃サービスが出てきています。air’s ROCK♪さんも価格の変更・値下げについて検討されているのですか?

弊社は他社さんと比べると、決して安い値段設定ではありません。実際に、スタッフの教育や品質維持のためのマネジメントなどにしっかり取り組んでいるのであれば、弊社の価格帯がギリギリのラインかなと思います。

価格が安ければ安い分、やはりそれはサービスに影響します。事業なので、お客様から得られる売上が原資となります。この原資が低ければ、できない作業量を無理して押し込むか、作業を端折ってしまうか、この2つに行き着くことになります。

弊社はこれまで価格を崩さず続けてきましたし、今後も安くする予定はありません。サービスレベルを高く維持し、価格以上の価値を提供していきたいと考えています。

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− 清掃ができるのであれば、運営代行なども請け負えるのではないかと思うのですが、運営代行事業の展開は考えないのですか?

清掃軸でしか考えていないですね。そこはぶれずに、自分たちの軸というものをしっかり持っていないといけないのかなと思います。運営代行事業をやられている会社さんも同じかと思うのですが、私たちのモチベーションは儲かるかどうかで動いているわけではありません。私たちの場合は、誰もやっていないことに取り組みたいなと考えています。民泊清掃についても国内では、弊社が最初に始めました。今後も、民泊清掃以外で何か始めるとしても、誰も手をつけていない新しいことに取り組みたいなと考えています。

(第1部 終)

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第2部では、売上を上げられる部屋の共通点やゲストに部屋を綺麗に使ってもらうためのポイントなど、数百件の部屋の清掃を3年間に渡り行ってきた同社だからこそ知る内容について紹介します。