「民泊新法180日規制に対する2つの戦略」部屋バル 代表取締役 長谷川翔氏

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住宅宿泊事業法案には、営業の上限日数を180日以下に制限する内容が盛り込まれ、どうにかして残りの185日間の活用できないものかと頭を悩ませる民泊事業者が多いのではないだろうか。この悩みへの解決策に対し、民泊物件を専門に取り扱う不動産仲介会社 株式会社スリーアローズ(部屋バル)代表取締役社長 長谷川翔氏に話を聞いた。 185日間の活用について、理論や想像の域を出ないアイデアが多いなか、同社では早くも2つの施策を実践し、事業化を力強く進めている。

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民泊物件はマンスリーサイトでは訴求力が高い

民泊新法施行は来年以降の話になるかと思いますが、もちろん180日はしっかり守っていく方向で、それ以外の部分をどう運営していくかが課題だと思います。民泊以外にも色んな運用方法があると思います。例えば、スペースマーケットを使った時間貸しはすごい面白い試みだと思います。

弊社は不動産会社なので、あくまで宅建業という枠組みの中で、不動産会社だからこそできる事として、マンスリー物件としての運用が有効なのではないかと考えています。

それこそ、民泊としての集客力が高い物件、稼働率が高いといわれる物件は特徴がすごく似ています。民泊物件で集客力の高い物件の強みは、マンスリー物件としても、そのまま活きると考えています。

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1泊単価1,000円増、問合せ2

実は、弊社ではいくつかマンスリー物件の運用実績があって、民泊用の物件をマンスリーに転用したことがあります。経緯としては、個別のサイト名は出せないんですが、あるサイトで掲載していたマンスリー物件を民泊に変えてみました。ただマンスリーサイトからAirbnbに掲載先を変えたのではなく、予約を獲得できるように、ホテルのようなインテリアコーディネートを施し、写真映えも意識して、しっかり差別化を図ることができるよう作り込みました。しかし、実際には期待したほどの利益が出せませんでした。なので、また民泊からマンスリーに戻しました。

すると、民泊に作り込む前と後では、マンスリーサイト上の反響が大きく変わりました。具体的には、1泊あたりの宿泊単価が1,000円変わって、問い合わせが2倍増えました。前年対比なのですが、3040件程度の問い合わせが、70件~80件へと大きく増加しました。その物件のオーナーさんが喜んでくれたのは、11,000円上がれば月3万円も収益があがりますよね。その時点で、ホテルライクに作り込んだとしても、1年間運用すればインテリアの費用を回収することができます。いま、マンスリーサイトに掲載される物件は、殺風景な部屋が多いので、民泊のようなしっかり作り込んだ部屋は、そこに対する差別化になり、反響を期待することができます。

結局、みなさん、住宅宿泊事業法の180日規制という話が出たときに、撤退するかどうかを考える方が多いのですが、せっかく家具家電を買って部屋を作ったのにもったいないですよね。こうしたマンスリーでの成功例が出てきていますので、マンスリーへの転用は非常に有効な転用手段かと思います。

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「家具付き賃貸」という第3の提案

これから絶対流行るのは、敷金礼金0/0の家具家電付き賃貸だと考えています。家具家電が設備として貸し出される代わりに賃料が1万円~3万円高いですというような物件ですね。

これは借主さんに対し重要事項説明を行い、貸主さんと借主さんの間で賃貸借契約を結ぶ必要があります。借主の集客方法にも大きな違いがあります。弊社が、不動産独自のシステムに登録すると、全国の不動産が物件を扱えるようになります。1つのシステムに不動産業、宅建業として登録することで間口が広がります。これはAirbnbなどのOTAとは異なり、宅建業が必要となる作業です。

賃料相場については、「すでに家具家電が付いていて、すぐに生活できますよ」ということで家賃を通常賃貸よりも賃料を上げることが可能です。留学生やすぐに生活したい人を取り込むために、そういうプランを打ち出している会社もあります。家具付き賃貸の賃料相場は、山手線沿線が最寄り駅の徒歩10分、ワンルーム物件であれば、通常賃貸よりも賃料1万円~3万円程度変わります。家具家電は設備として貸し出すため、賃料に含まれます。

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宿不足の連鎖により、家具付き賃貸の需要増を予想

(株)スリーアローズ代表取締役 長谷川翔氏

結局民泊につながる話なのですが、ホテルが足りません、民泊も足りませんとなった時に、一番困るのは国内で出張に行く人で、ホテル代高騰の煽りを一番うけてしまいます。特に長期の出張の際には、ホテルや民泊をとらずに、敷金礼金を支払ってでも、家具付き賃貸を借りた方が結果的には安くなります。1ヶ月までであれば、だいたいは民泊が一番安いのですが、1ヶ月を超えるとマンスリーの方が安くなります。7ヶ月を超える滞在の場合は、マンスリーよりも家具付き賃貸の方が安くなります。

企業は滞在期間が未定の場合は、とりあえずホテルを予約しているというのが大半でした。しかし、ホテルの宿泊料金が高くなり、企業はコスト抑制のため、マンスリーマンションの利用が増加しています。そして、今後さらに、マンスリーマンションが高くなることが予想され、家具付き賃貸の需要も増えていくと考えています。

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マンスリーと民泊、家具付きは立地・時期によって使い分け

弊社は不動産会社なので、マンスリーサイトに掲載される物件を見れば、大体ここは賃料がこれくらいだから、どれくらい利益が出ているなというのがわかります。マンスリーサイトを見ると、単価が低い物件で月間4万円くらいは利益出ています。高い物件ですと、月間10万円くらいです。民泊でも代行会社を利用して、ワンルームを運用した場合の平均の粗利は3万円程度だと思います。極端な話、マンスリーの方が収益高い物件は絶対に出てきます。転貸が許可されている物件であれば、マンスリーで稼働させた方が収益が良い物件もあります。

家具付き賃貸は、月1万円~2万円程度の利益ですが、損切りしてしまうよりは長い目で見て回収していきましょうという考え方ですね。

民泊の繁忙期はだいたい4月と7月~9月と言われていて、マンスリーの繁忙期は12月、1月~3月と言われています。マンスリーは受験だったり、新しい会社が決まった人が次の家を探す拠点として、環境を整えながら利用するといった需要があります。立地や時期によって、民泊、マンスリー、家具付き賃貸を使い分ければ、180日の残り期間を有効に活用することが可能です。

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取材を通して

民泊事業の収益は、1泊あたりの宿泊売上単価と稼働日数をどれだけ引き上げるかによって決まる。それに対し、民泊新法の180日規制は大きなキャップとなるため、民泊関連会社各社は民泊以外の活用方法を必死に模索している。そして、多くは民泊物件をベースとし、残りをマンスリーマンションで運用するという案だ。しかし、具体的な戦略まで落とし込まれているところは少なく、同社の戦略はテスト段階での成果を踏まえた非常に現実的かつ有効的なものであった。民泊を始めたい、もしくは事業を拡大したいものの、180日規制にどのように対策していくべきか分からないなど、悩まれている方は一度部屋バルへ相談してみてはいかがだろうか。