「民泊からワンランク上のバケーションレンタル市場 開拓目指して本格始動。 」HomeAway(ホームアウェイ)日本支社長 木村奈津子 

 

“家主不在型の一棟まるごと貸し”のHomeAway(ホームアウェイ)

-「ホームアウェイ」について、どのようなサービスなのか教えて下さい。

日本では 民泊 というのは、ごく最近出てきたビジネスですが、欧米では1950年頃には既に「 バケーションレンタル 」というカテゴリーが存在し、非常に長い歴史をもっています。ホームアウェイ(www.homeaway.jp)は2005年に別荘レンタルをコンセプトにテキサスのオースティンでサービスが開始されました。家主不在型の貸切にフォーカスし、特にゴージャスな非日常を体験できる別荘を多く取り扱っいる点が特徴です。

世界ではバケーションレンタルの市場が11兆円ほどあると言われ、大半が欧米で占めています。米国の規模は約4兆円あり、アメリカ人のなかでも30%以上が利用した経験があり、新興というよりはある程度確立された市場であると言えます。日本は来年に合法化され、そこから供給量が一気に増えることが予想され、まだまだ伸びしろの大きいと考えています。

ご存知の通り、政府は2020年には訪日外国人旅行者4,000万人を目標としており、2030年には6,000万人という数字を掲げています。そんな中で、ホームアウェイは「訪日リピーター」に注目しています。2020年の4,000万人には、全体の約60%がリピーターになると見込まれています。初めて日本にいらっしゃる方は、ゴールデンルートと呼ばれる東京、京都、大阪に行かれるかと思いますが、2回目、3回目になると今までに行ったことのない地方へと観光のすそ野が広がっていきます。弊社としては、そうした層に注力していきたいと考えています。

ターゲット層としては、家族やグループといった複数で旅行する方たちをターゲットとしています。例えば、家族2世帯といった人数が多い旅行ですと、ホテルであれば2部屋は取らないといけません。1世帯であっても、家族が6人だとすれば、6人が入るホテルや旅館はなかなかありません。そうした旅行者の方たちが古民家や一軒家を借りることができれば、プライベートな空間で家族旅行を楽しむことが可能です。スーパーやコンビニでワインを買って、みんなで団欒することもできます。

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ホームアウェイ 日本サイトトップページ(www.homeaway.jp)

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ホームアウェイ取扱高1兆6,000億円、昨対45%成長続く

ホームアウェイさんはどれくらいの規模のサービスなのでしょうか?

ホームアウェイ 日本支社長 木村奈津子氏

規模については、取扱高がグローバルで約1兆6,000億円あり、日本の旅行会社の最大手とほぼ同程度の取扱高になります。23言語、50サイト、訪問者数は月間約4,000万人、掲載物件数は200万件あります。

アメリカ・テキサス州のオースティンで始まった会社なのですが、同じようなバケーションレンタルのサイトを20回ほど買収を続け、規模を拡大し続けています。例えば、オーストラリアの「Stayz」やシンガポールの「Travelmob」等があり、Stayzのように買収後も前のブランド前で展開しているサイトも存在します。最終的に、2015年12月に旅行予約世界最大手のExpedia(エクスペディア)がホームアウェイを買収し、Hotels.comやトリバゴなど数あるブランドの中でバケーションレンタルに特化するブランドはホームアウェイという位置付けになっています。

エクスペディアグループ全体の売上の中でも、昨年対比の伸びという点においてはホームアウェイの取扱高が45%、売上も31%(2017年第2四半期)と非常に高い成長を見せ、注目されているブランドとなっています。

 

世界最大手のグループである強みは何ですか?

エクスペディアは旅行会社なのですが、Amazonの旅行版といった方がイメージしやすいかもしれません。テクノロジーに年間1,000億円以上を投資しているIT会社であり、そうしたテクノロジーを享受できる点は1つの大きな強みと言えます。

もう1つの強みとしては、エクスペディアグループの数あるブランドを横断して集客を行うことができる点です。例えば、日本の物件をホームアウェイに掲載をすると、今後はグローバルのエクスペディアサイト等にも掲載され、集客効果がどんどん高くなっていくというメリットがあります。

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家族やグループの長期宿泊、客層と旅行スタイルに大きな差

Airbnbとの違いについて

日本では民泊といえば「Airbnb」とイメージされる方が多いと思いますが、アメリカではバケーションレンタルといえば「Airbnb vs. HomeAway」という  2社を比較されることが多々あります。Phocuswrightというアメリカの調査会社がまとめたバケーションレンタルに関するレポートがあるのですが、Airbnbと弊社ではいくつかの大きな違いがあります。

レポートでは、Airbnbは1人旅や2人旅が多く、比較的若い方が都心のマンション・アパートを借りて、ホストとの交流を楽しむというのが一般的なスタイルであるとされています。滞在日数は4日と短め、平均単価は割と安めです。

それに対し、ホームアウェイは家族やグループなどの比較的人数の多い宿泊顧客ターゲットに振り切っています。3人以上の利用者が75%を占め、1~2人の利用者が約60%を占めるAirbnbとは大きく異なります。ホームアウェイのユーザー層は40~50歳代が中心となっています。場所は都会ではなく、どちらかどういうとリゾート地や地方に強く、平均滞在数は6日と長く、さらに平均宿泊単価は$1032USDと高い数値となっています。

物件の立地についても違いがあります。アメリカでは、Airbnbはニューヨークやサンフランシスコに物件が多く、一方でホームアウェイはリゾート地として有名なフロリダ、オーランドにおいてAirbnbよりも多くの物件が掲載されています。

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ホームアウェイならではのユーザー層の特徴などはありますか?

ブランディングについてはAirbnbとは大きく異なります。昨年欧米で放映したTV CMなのですが、そこでは”Why Share? Its your vacation!”と
「大事な休暇なのに、なんで施設のホストさんと宿泊空間をシェアしなきゃいけないの?」と、あくまで旅行者だけでプライベート空間を楽しもうというようなメッセージを発信しておりました。

とにかくホームアウェイでは家主不在型、貸切を推しています。「こんな素敵な空間に家族でゆったりと過ごすことができるって素敵だよね」といったようなCMを流しているので、ユーザーも必然的にそうしたマインドをもった方が多くなります。弊社にご掲載頂いているホストの方には、「ホームアウェイのお客さんは単価が高いし、部屋を綺麗に使ってくれるマナーのいいお客様が多くて質が良いね」とおっしゃって頂いています。

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ホームアウェイ掲載物件

(沖縄)

(ハワイ)

(パリ)

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2018年、さらなる集客と仕入れの強化

直近で取り組む予定の注力事項はありますか?

1つはグローバルのプラットフォームへの統一です。来年には実装される予定なのですが、買収を20回近く続けてきたため、それぞれサイトがあり、1つのプラットフォームに乗っかっていない状況です。今でも掲載して頂ければ、当然欧米などに英語でリスティングが表示されますが、グローバルのプラットフォームになることによって、よりシームレスな予約導線が引けることになるのでグローバル顧客の集客とコンバージョンレート(成約率)が大きく改善されることが期待できます。

2つ目として、エクスペディアネットワークのみならず、それを超えた他プレイヤーとの顧客集客としてのアフィリエイト契約をグローバルで加速しています。先日発表させて頂いた途家さんですとか、他OTA、メタサーチなどとの提携をどんどん進めています。今後はより集客の面でお手伝いができると考えています。

3つ目として、日本の宿泊施設の仕入れ強化。グローバルでは欧米を中心に既に月間4000万人のお客様が弊社サイトを利用している中、日本は世界の中でもかなり人気の高い旅行先となります。質の高い丸ごと貸し物件の選択肢、数を増やすことで、今すでに存在する需要に対応できるよう供給を急ピッチで

増やしていかなければなりません。自社で直接仕入れる他にも、宿泊施設開拓に強い会社とのパートナーシップも加速していく予定です。

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楽天LIFULL STAYとの強力タッグ

エクスペディア外との提携の1つとして、楽天LIFULL STAYさんとは、どのような領域で提携されるのでしょうか?

楽天LIFULL STAYさんには国内物件の仕入れ部分でお力添え頂き、弊社からは海外からトラフィックを持ってくるという部分で協力させて頂きます。具体的に、どれくらいの物件をいつまでに、どこの地域でという細かなところについてはこれから進めていきます。

楽天LIFULL STAYさんは地方創生などにも力を入れられているので、その点においては弊社の地方やリゾート地に強いというバリュープロポジションとうまく結びつけられれば良いと思います。あとはやはり、新法含め、様々な規制の骨子が見えてきましたが、観光庁さんがとにかく需要の総数を増やすとうたわれていますので、いかにそこをみんなで盛り上げていけるかだと思います。

(関連記事「ホームアウェイが楽天LIFULL STAYと提携、国内民泊物件を拡充」)

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供給は個人から法人中心へ

民泊新法が施行された後、市場はどのように変わると考えられていますか?

マーケットは大きく変わると思います。供給側については今までC(個人)中心だったものがB(法人)中心へと変化すると考えています。例えば、これまでマンスリーマンションとして運用していた物件が、空いている期間を民泊として180日以下で運用する動きも出てくるでしょう。あとは、別荘やリノベした空き家を家主不在型民泊として運用していくという形も考えられます。 簡易宿所 の営業許可については地域によっては規制緩和で取得しやすくなっているので、一軒家での簡易宿所も増えてくるのではないかと思います。

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民泊利用者・物件所有者ともに認知拡大がカギ

新法施行後、日本人の民泊利用は増えると思いますか?

日本人の民泊利用者はまだまだ少ないのが現状で、最近はホテルが高くなっててしまう時期に、仕方なく民泊施設を探すというくらいの代替案に過ぎない状況です。民泊のイメージが安く泊まれる都会のマンションの一角というイメージである限り日本人が積極的に民泊を利用する土壌にはならないと感じています。ただ、実際に弊社サイトでハワイ、バリ、プーケットなどを検索してを見て頂くと、現状の民泊というイメージとは180度異なる、超豪邸と言える物件が豊富に掲載されています。豪邸に8人合計で2万円で泊まることができ、プライベートプールが付いている。これであればホテルのスイートの上、さらに上のレベルなので今度の旅ではバケーションレンタルを利用しようと第一の選択肢として入ってきます。初めて行く海外都市はホテルを選択される方が多いと思いますが、2回目、3回目の渡航となれば、コンドミニアムなどに宿泊してゆったりと生活するようなスタイルの旅需要が高まってくるので、特に日本人のリピーターが多いハワイなどの都市はバケーションレンタルの需要が今後どんどん拡大していくと思います。

海外に限らず、仕入れ強化に伴い日本でも素敵な豪邸がどんどん掲載されています。通常そうしたところに泊まる機会はなかなかありません。別荘や豪邸にみんなで泊まろう、といったニーズは海外以上に言語の問題がない国内においては特に潜在需要が大きいと思います。ただ、バケーションレンタルが認知されていないので、弊社のサービスのバケーションレンタルが「民泊」という言葉で説明されてしまうというジレンマがあります。質の高い一棟貸し・家主不在型、ワンランク上の民泊=バケーションレンタル、そうしたものがあるということの認知を広げていくことが必要だと思います。

一方で、別荘を所有するオーナー様への啓蒙も必要だと感じています。現状日本では別荘は誰でも所有できるものではなく、ごく一部のお金持ちに限られます。しかし、別荘を民泊として運用することができるのであれば、180日以下の営業日数で大きな利益を出すことはできなくても、プラスマイナスゼロで別荘が持てるのであれば、別荘を持ちたいという人がいるのではないかと思います。実際に欧米のバケーションレンタルはこういった別荘レンタルの発想から成長していったものです。実際に熱海の駅前に行くと、別荘のパンフレットがたくさん置いてあって、なかにはすごく安い物件もあります。地域によってはバブル崩壊の負の遺産として、10万~100万円と嘘のような安価なものもあります。普通に別荘としてだけ購入するとなれば、管理コストや税金などの出費面での懸念が多々ありますが、民泊で運用すれば別荘が持てる上に、利益を得ることもできるかもしれません。既に別荘をお持ちの方達の間では、静寂な空間が台無しにされるかもしれないということで反対派も現状では多いようですが、新規オーナーで一定地域に民泊運用兼、別荘としてまとめれば新たな供給市場もできるのではないかと存じます。こういったオーナーに向けたマーケティングも必要だと思います。

アメリカの場合、こうしたバケーションレンタルというコンセプトが昔からあり、お金持ちだけが別荘を持つということはなく、一般の人でもバケーションレンタルで利益を得ながら、別荘を持つというコンセプトが一般化しています。民泊新法のもとに、別荘を持つという選択肢が増える良いなと思います。

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取材協力:ホームアウェイ株式会社 日本支社長 木村奈津子氏

ホームアウェイ掲載物件URL
【沖縄】 https://www.homeaway.jp/p4600094
【ハワイ】https://www.homeaway.jp/p4273112
【バリ】 https://www.homeaway.jp/p4333494