「月6,000円でフロントスタッフが不要に、TRIP PHONEの導入効果」iVacation 代表取締役 大城崇聡氏

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最近ではホテル・旅館業界では人手不足が問題視され、効率的な運営、運営のシステム化・省人化・無人化など、いかに少ない人員で効率的に運営するかという点が注目されている。今年4月には、観光庁が全国で実施したコンサルティング・ワークショップによる生産性向上に向けた事例集が公表されるなど、業界の改善に向けた意欲の高さが感じられる。

そんななか、株式会社iVacationは、早くからIoTを活用した「スマート民泊」という無人化・省人化を目指したサービスを展開し、大田区や福岡市での実証実験に取り組むなど、その活動は積極的かつ先進的だ。

今回、株式会社iVacation 代表取締役 大城崇聡氏にご協力頂き、TRIP PHONEの利用状況や無人化・省人化への効力、今後の展開について話を伺った。

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TRIP PHONEは5言語で24時間対応できるコンシェルジュ

iVacation社はどのような事業をされている会社ですか?

 iVacation社は主に、「TRIP PHONE」の開発・運営、それと「TRIP PHONE」を活用した宿泊運営のシステムを提供している会社です。

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-TRIP PHONEとは

「TRIP PHONE」というのは一言でいうと、コンシェルジュです。チャットでコンシェルジュに相談ができるようになっていまして、ゲストはほぼ100%このチャット機能を利用しています。英語で質問すれば、それに対してコンシェルジュも英語で答えます。日本語、英語、韓国語、中国語の繁体、簡体、5つの言語に対応しています。

コンシェルジュは24時間対応が可能です。最も多く聞かれることは、食事です。レストラン予約は非常に多く要望を頂きます。さすがにラーメン屋は予約できるようになっていないのですが、例えば、天ぷらを食べたいという要望があり、予約ができるお店が近くにあれば全部予約させていただいています。

次に多く利用されるのはタクシー予約です。民泊や簡易宿所はホテルと違って、タクシーが待機していないですし、施設が大通り沿いに建っていないことが多いため、ゲストがタクシーをつかまえようとしても難しい場合が多いのです。どこまで行けばタクシーをつかまえることができるのか分からない、呼び方も分からないということで、タクシー予約が多く利用されます。

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困った時は結局コンシェルジュに行き着く

-TRIP PHONEを開発するに至ったきっかけは何でしょうか?

単純に不便だなと感じていました。

外国人の方は日本へ旅行に来た際に、不満な点として英語が話せないコミュニケーション能力や通信環境の悪さをあげることが多いのですが、それならwifiを借りれば良いのかというと、wifiを借りたからといって自分が持っているスマートフォンでは何もできないですよね。

私も海外に自分のスマートフォンを持っていってwifiに接続しても、できることはfacebookなどのSNSを更新することぐらいです。自分の言語で検索しても、外国の環境下では限界がありますよね。それと同じように、例えば英語で渋谷のことを検索しても、英語で表記された限られた情報しか取得することができません。

そういった環境は良くないと思っています。コンシェルジュが質問を受けて、返答してあげられればすごく便利なのではないかと思い、TRIP PHONEを開発することになりました。

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御社は様々な実証実験に取り組まれておりますが、そのなかで得られた気づきなどはありますか?

2016年の9月から約半年間、特区民泊経営事業の認定を受けた物件にTRIP PHONEを導入し、実際にゲストに利用していただきながらスマート民泊の実証実験を行いました。面と向かってはなかなか言いづらいこともチャットであれば比較的言いやすいのか、ゲストからいろんな要望を受けました。「アイロンは最初から置いておくべきだ」「炊飯器は設置してほしい」「タクシーを呼んでほしい」など細かな要望をたくさん集めることができたので、無人で運営するためのノウハウを得ることができました。

最終的にはすべての質問や相談がコンシェルジュに行き着くのだということがわかりました。

wi-fi、翻訳、医療保険など多様な面でゲストをサポート

- チャット以外で利用されている機能はありますか?

wifiルーターの代わりとして、テザリング機能はよく利用されています。

ほかには、手書きの翻訳機能の利用も多いですね。例えば、「water」と手で書き込めば、「水」と出るようになっています。簡単な単語でもネイティブの発音ですと、聞き取れないことはありませんか。これがあれば、単語でコミュニケーションをとることが可能です。

あとは、医療保険に入れるようになっていまして、保険に加入すれば24時間多言語で対応してもらえるコールセンターにつながり、キャッシュレスで治療を受けることができます。オンラインで保険に加入することが可能です。日本人の場合はしっかり保険に入って海外へ行くという方が多いと思いますが、海外の方はあまり入ってこられません。

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コンシェルジュはどのような体制で運営されているのですか?

基本的には日本語でインターネット検索ができる方にコンシェルジュを担当してもらっています。英語、中国語、韓国語を理解して、日本語で情報を検索し、それぞれの外国語で回答する、これができる方が必須条件なのですが、海外に住んでいる日本人もいらっしゃいますし、日本に長期滞在中の外国人の方もいらっしゃいます。

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ホテルのフロント待ち時間をなくし、ゲストのストレス解消

−TRIP PHONEはどういう方が導入すると効果的だと思いますか? 

無人で宿泊施設を運営している方、運営したい方に最適かと思います。実際には、京都の町家からの引き合いが強いですね。

英語が話せたとしても、11つ対応するのはすごく大変で労力がかかってしまいます。Airbnbは特にチェックイン前からの質問が多いのでより運営工数がかかるなと感じています。

TRIP PHONEを導入して頂ければ、そうしたゲストからの細かな質問や相談をコンシェルジュがまとめて対応することができるので、運営者の手間を大きく低減することが可能です。

あとは、ホテルからもお声がけが多いですね。外国人旅行者がスタッフに相談するためにフロントに列をなして並んだりするのですが、日本人利用者はただ鍵をフロントに渡すだけ、精算するだけなのに混雑している影響で待ち時間が長くなってしまいます。そうなると、日本人利用者は混雑する不便さを感じてリピート利用しなくなる可能性がありますし、外国人旅行者も同様に離れていってしまうかもしれません。

コンシェルジュ機能を活用すれば、何かあったときの質問・相談をコンシェルジュに流すことができるため、利用者のストレス状態を解消することができます。

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デフレを勝ち抜く有効な材料としてデータを提供

チャット機能を通して、ゲストのニーズや動向など非常に有効なデータが大量に取得されていると思いますが、それを活かして何か展開することはお考えですか?

解析ツールの提供を考えています。もともとはチャットだけだったのですが、wanderpassを事業譲受することができたので、これによって得られるようになった移動データを駆使し、データ解析やデータ提供へ展開していければと考えています。

例えば、宿泊に特化した施設を利用するゲストの多くが近所のそば屋を利用していることが分かったとします。その場合、宿泊施設とそば屋が協力して、専用のセットメニューを作り、宿泊施設からそば屋へ送客するような取り組みが有効かもしれません。宿泊施設は「そば」というトラディショナルな食のコンテンツを利用することでゲストの満足度を高められます。

このように、データを提供することによって、宿泊施設がデフレ進行のなかでどう勝ち残っていくかを考える材料に使ってもらえれば良いなと思います。

あとは、チャット機能を利用して、コンシェルジュがおすすめする近くのレストランのような広告展開もあるかもしれないですね。

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最後に

ホストの方が細々と問い合わせに対応しなくて良くなる点がTRIP PHONEの良さだと思います。あとは、wifiを置かなくてもよいので、その分のコストを下げることができます。無人運営、運営の効率化をお考えの方におすすめです。